124 号 2025年12 月発行
改憲で日本とアジアの平和は実現するのか 改めて憲法の力を考える
渡辺治氏(一橋大学名誉教授)
本日は、「軍拡と改憲で日本とアジアの平和は実現するのか—改めて憲法の力を考える—」と題してお話をさせていただきます。
私たちは今、大きな問いに直面しています。
• なぜ、この高市自民・維新連立政権が誕生したのか?
• そして、彼らが目指す軍拡と改憲によって、本当に日本とアジアの平和は実現するのでしょうか?
この二つの問いを手がかりに、憲法の力について改めて考えていきたいと思います。
◆なぜ、いま高市政権が成立したのか?その狙いは?
1、自民党の歴史的な大敗と、新たな勢力の台頭
まず、2025年参院選で自民党は歴史的な大敗を喫しました。これは四半世紀で最低の敗北であり、直近2回の選挙で710万票もの支持を失ったことになります。
この背景には、長年にわたる新自由主義政治による暮らしの破壊があります。新自由主義とは、「企業のグローバル化、競争激化の下、巨大企業の利潤拡大による競争力強化で成長を目指す」体制です。その3本柱は以下の通りです。
• 労働者の賃金削減=リストラや 非正規化の推進。
• 企業負担の軽減=法人税引き 下げ、富裕層減税、その財源を 社会保障費や地方財政の削減、 そして消費税の増税で賄うこと。
• 規制緩和、大企業の市場拡大を 目的とした労働者保護などの規
制撤廃。
2、「新手の新自由主義党」の躍進
自民党が失った票は、新自由主義の克服を掲げた立憲野党ではなく、主に国民民主党や参政党に流れました。これらの政党は、消費税減税や積極財政を訴えて支持を伸ばしました。
しかし、私は彼らの政策を「新手の新自由主義」と呼んでいます。なぜなら、大企業の負担軽減という新自由主義の核心を維持したまま、消費税減税や社会保険料の引き下げ、積極財政を行おうとすれば、結局は社会保障費などの大削減という、従来の新自由主義的な手法の強化に行き着くからです。
選挙戦では、物価高対策としての消費減税か給付金かが争点となり、真の「新自由主義克服勢力」(共産、社民)と、「新手の新自由主義勢力」との決定的な違いは争点になりませんでした。
結果として、「政治を変えたい」と切望する若年層、現役層、初めて投票に参加した層などが、より大規模な提言をする新興政党、特に参政や国民に投票したのです。
さらに重要な点は、国民、参政、維新のいずれもが、自民党と同じく軍拡・改憲政党であることです。そして、選挙戦では戦争と平和の問題はほとんど争点にならず、結果として改憲・軍拡政党の議席が増加しました。
3、政権維持のための「右翼連合路線」
衆参両院で過半数割れした自民党は、政権を維持し、新自由主義の維持、軍拡遂行を加速させるため、新自由主義の手直しと軍拡・改憲を掲げる国民・維新・参政との右翼連合路線に舵を切らざるを得ませんでした。そして、この連合路線に最も適任だったのが、高市候補です。
◆高市政権のもとでの軍拡・改憲の加速
こうして誕生した自民・維新連立政権は、以下の4本柱に基づく右翼連合政権です。
• 新自由主義の修正・維持
• 改憲・軍拡
• 天皇制維持・選択的夫婦別姓反対 などの反人権
• 反民主主義
高市政権は、維新との合意に基づき、医療費の大削減など、新自由主義の再稼働政治を推し進めると同時に、岸田政権から本格化した軍拡・戦争体制づくりをさらに加速させています。
これは、アメリカが世界戦略を対中国覇権主義対決戦略へと転換し、日本を中国との軍事対決の拠点として全面的に動員する圧力をかけているためです。
高市政権は、トランプ政権の「肩代わり戦略」というさらなる軍拡圧力の下で、維新・国民・参政をも巻き込み、岸田軍拡を上回る対中軍拡・戦争体制づくりを推し進めています
。• 軍事費の更なる増額=安保3文書で決定したGDp2%を、2027年度予定から2年前倒しで今年度中に達成しようとしています。
• 攻撃的兵器の増強:長射程ミサイルの配備加速、長射程ミサイル搭載原子力潜水艦の建造などが計画されています。
• 武器輸出の解禁、防衛装備移転3原則の再改悪による殺傷兵器輸出解禁、そして国営軍工廠の設立を目指しています。
• 日米共同作戦体制の加速、大規模な日米共同演習が続き、自衛隊が対中戦争の最前線へ組み込まれつつあります。
そして、明文改憲も新たな局面を迎えています。維新との連立合意により、九条改憲や緊急事態条項について、両党で条文起草協議会が開かれようとしています。高市氏自身は九条2項廃止論者ですが、安倍氏の自衛隊明記論を尊重していた経緯もあり、今後の方針転換の可能性もあります。
さらに、天皇の男系・男子継承のための皇室典範改正、選択的夫婦別姓制度の否定、スパイ防止法の制定など、反人権、反民主主義的な施策も進められようとしています。
◆ 改憲と軍拡によらないで、日本とアジアの平和をどうつくるの
1、軍拡と平和は両立しない
高市政権は「強い軍備と日米同盟で対中抑止力を」と主張し軍拡に邁進していますが、日本の軍拡・軍事同盟強化は、世界の米中軍拡競争の加速化を招くだけです。
歴史は教えています。第一次大戦前の英独建艦競争や、第二次大戦前の日米英などの建艦競争は、平和ではなく、戦争へと突き進む道を辿りました。現在の米中軍事対決も、国連の共同行動を困難にし、戦争と侵略のハードルを下げています。
2「戦争しない国」を維持した憲法
では、戦後80年、日本が「戦争しない国」を維持できたのはなぜでしょうか?
保守政治の下で憲法9条の理念は蹂躙され、米軍駐留や自衛隊の軍隊化が進められたのは事実です。にも
かかわらず、日本が侵略したり、侵略されたりすることなく 年を過ごごせたのは、市民の運動によって6度にわたる改憲を阻止し続け、自衛隊の活動が9条によって制約されたからです。
朝日新聞の調査(2025年)でも、日本の戦後の平和に「大いに役立った」「ある程度役立った」とする回答は、憲法が %(大いに %、ある程度 %)であり、米軍と自衛隊の %(大いに %、ある程度 %)を上回っています。
9条による制約は、日本が戦争に巻き込まれる二つの事態を防いできました。
アメリカの戦争に集団的自衛権行使で加担する場合、戦後の大戦は全てアメリカ主導でしたが、9条の制約があったために、佐藤内閣は、ベトナム戦争への派兵を拒否し、海部政権は湾岸戦争への派兵圧力を拒否しました。小泉政権も武力行使はできませんでした。
3、領土紛争の軍事衝突化する場合
北方領土、竹島、尖閣などの紛争地帯で、9条の制約があったために、自衛隊は武力行使せず、戦争や軍事衝突を回避できました。
4、台湾有事を起こさせないために私たちにできること
今、国民の間には「中国脅威論」が広がり、「防衛力強化」への賛成意見も多数を占めています。しかし、日本と中国との間に戦争の必然性はありません。戦争は、台湾をめぐる米中戦争に日本が加担する時に起きるのです。
米中双方とも戦争は望んでいませんが、台湾有事の可能性はあります。だからこそ、日本の責任で米中の戦争を抑える必要があります。
しかし、高市政権はこれと真っ向から逆行する「戦争する国」づくりに邁進しています。
戦争をさせないためには、市民と立憲野党の共闘に基づき、政治を変えることが不可欠です。
平和外交の第一歩は、台湾有事に日本は集団的自衛権を行使しないと宣言し、憲法堅持を宣言することです。これはアジアと世界への強い平和のアピールになります。日本が加担しなければ、アメリカの軍事介入は困難になり、台湾有事を防ぐことにつながります。
平和外交の第2歩は、核兵器禁止条約の批准、ASEANとの連携強化、安保法制の廃止、地位協定の改正です。
むすびにかえて ─ 戦争をさせないため、まず一歩を私たちは、6度にわたる改憲攻勢を阻止し、「戦争しない 年」をつくってきた市民の力に確信を持つべきです。
今こそ、以下の行動を強く求めます。
1、市民が「戦争反対、軍拡やめろ」の声を上げること。
大軍拡と戦争体制づくり反対、ミサイル配備反対、高市発言撤回!の声を上げましょう。
2、改めて、高市改憲の狙いと危険性を学習し、改憲反対の世論を作っていくこと。
次期参院選では、改憲勢力を3分の2割れに追い込みましょう。
3、市民と立憲野党の共闘の再構築と強化を求める声と運動を強めること。
今こそ、九条の会の頑張りどころです。戦争をさせないため、皆さんと共に一歩を踏み出したいと思います。
地方自治は民主主義の学校―住民主体の区政に
民主主義の柱の一つが地方自治ですが、憲法 条で地方自治の本旨は法律で定める、とあります。本旨とは団体自治と住民自治です。団体自治とはなんでもかんでも国の言いなりにならず、自立した判断を行い、時として国に注文を付ける。住民自治は住民の要望に基づき政策を実行することですが、今の練馬区政はどうでしょうか。
今の前川区政は私たちの要請、陳情をことごとく拒否し、住民の意見を無視し、国の言いなりの姿勢です。 区中最低の教育費で、学校給食の無料化を他区がやっても練馬区はやらないと豪語し、 パーセントの保護者、町内会が反対する豊渓中学校の統廃合を来年からスタートする、再開発と大型道路建設を進め、貧困格差に目もむけない、新自由主義政策のかたまりのような区政です。世田谷区は空襲や、艦砲射撃で傷害を持った人に3万円のお見舞いを支給することにしました。
また株式会社などの経営する保育園の人件費が、経常収支の パーセント以下のところには契約を解除し、区の補助金を支給しないという規定を作り、保育士の賃金アップを確保しています。練馬区内の保育所では パーセントのところが多数あります。区長が違うとこんなにも違います。区長を変えるために全力をあげましょう。
政治を変えるのは足元から!
[ねりま9条の会22回総会報告]
今こそ九条の会の出番、練馬区長選の勝利を!
ねりま九条の会は、12月7日ここねりホールで、第22回総会を開催しました。様々な行事の重なる中、 名の方が参加、新しい入会者を4名迎えました。
一部はオープニングで、吉原理恵さんのフルート、野口和恵さんのピアノ演奏、わずか3曲でしたがすがすがしい気持ちになりました。
渡辺治さん(九条の会事務局次長)の講演は、軍拡と改憲で日本とアジアの平和は実現するのかー改めて憲法の力を考える、と題し、高市政権を成立させた自民党の戦略と、高市政権が、維新、国民、参政も巻き込んで、対中軍拡・戦争体制づくり、新たな明文改憲に突き進もうとしているのに対して、高市首相の「台湾有事は日本有事」の発言撤回を求め、改憲反対の世論を作り、市民と野党の共闘を軸に、新自由主義政治転換軍拡・戦争体制反対、改憲NО !人権、民主主義用語の反右翼連合を形成しよう。今こそ九条の会の頑張りどころと訴えました。(概要掲載)、
二部の総会では、植野妙実子世話人のメッセージが読み上げられ、また「練馬区長みんなで選挙2026」世話人会が、来年4月 日に行われる練馬区長選挙候補者として吉田健一さんに出馬要請することを決定したことが報告され、会場は安どの声が広がりました。
活動報告では、都議選、参議院選挙に向けた新しいポスターとチラシ作り、駅頭宣伝を行ったこと、悪魔の飽食合唱では文化センタ大ホールを満席にしての成功に貢献したことが特徴です。
地域の九条の会などから9人の発言があり、10年に及ぶ駅頭宣伝や、毎月の憲法学習会、シベリア抑留の講演会、サイレントフォールアウト上映会など多彩な取り組みが報告されました。
今後の活動方針については、戦争準備の高市内閣に対し、アメリカ言いなりをやめて、九条に基づく対話と独自外交の必要性を宣伝すること、戦争NОを宣伝するため、戦争の実態を語り継ぐ講演、映像、戦争遺跡の見学を行うこと、貧困と格差の拡大が深刻で、新自由主義政策が破綻しましたが、高市内閣は維新、国民民主を加えて、高齢者切り捨てを中心とした新たな新自由主義政策を強行しようとしており、これとも戦うこと。
こうした政治を足元から変えるために、来年の練馬区長選挙は、住民自治の実現を目指す重要な戦いでもあり、そのために吉田健一さん応援の勝手連を作り、公営掲示板のポスター張りを行うことを決めました。
九条の会の出番といわれながら、会員は減少し560人となり、諸物価の高騰、とりわけ郵便料金の値上げで、1000円の会費を1500円に値上げせざるを得なくなりました。また高市政権と真正面から対峙するためにも、ねりま九条の会を一回りも二回りも大きくすることを意思統一しました。 ねりま九条の会事務局長 大柳武彦
豊渓中学校統廃合問題から練馬区の姿勢を問う
◆突然の「豊渓中をなくす」計画
2024年 月、練馬区は「適正配置第二次実施計画(素案)」を発表し、令和 年度を目途に豊渓中を廃校にして、光が丘第一中に統合する計画を突然示しました。
練馬区は、「1学年に1クラスしかないと、友だちの関係が固定しやすい」「いろいろな人と関われず、考え方が広がらない」という理由をあげ、ある程度の人数がいないとよい教育ができないと、統廃合の必要性を説きます。
豊渓中学校は練馬区旭町にある小規模中学校で、たしかに豊渓中は生徒数が多くありません。しかし、ここ ~ 年ほどは、3学年で5~6クラスの規模で安定してきました。それでも区は、人口の予測で5クラスのままであることと、運動場の広さを理由に統廃合を決めました。
発表からわずか4か月で決定する予定でしたが、説明会で反対の声が多く出たため、3月決定はいったん見送られました。しかし、9月の学校選択の説明会に間に合わせるという理由で、2025年8月に計画(素案)から次の段階に進める決定をしました。
そこで、私たちは学校統廃合問題に詳しい山本由美先生(和光大学名誉教授)を紹介していただき、練馬区の計画(素案)のおかしさを知り、豊渓中学校統廃合を考える会をつくり、活動を始めました。
◆「子どものため」は本当に考えられているの?
最近は「こどもまんなか社会」がよく言われ、子どもの声を大切にする方針があります。でも今回の計画で、子どもたちの気持ちはどのくらい聞かれたでしょうか?
学校の問題は生徒の数だけではありません。不登校や子どもの心の悩みも増えています。学校が大きければよい、人数が多ければ安心というわけではありません。
説明を聞けば聞くほど、「本当に子どもたちのために考えられた計画なのだろうか?」と疑問が増していきました。
◆文科省の方針とも合わない点
文部科学省の手引きには、「学校統合の判断は、行政だけで決めるものではない。保護者や地域とよく話し合って決めることが必要」文部科学省の手引きには、「学校統合の判断は、行政だけで決めるものではない。保護者や地域とよく話し合って決めることが必要」と書かれています。
ところが今回、地域の校長やPТA、町会や保護者などへの相談はなく、突然案が出されたのです。 区の独自基準では、適正規模を中学校 〜 学級と定め、豊渓中( 年後見込み5学級)を統廃合対象としていますが、区内では4割以上が「過小規模校」に該当します。さらに地域から要望のあった小中一貫校案も「適正規模に1学級足りない」という理由で検討されませんでした。運動場の広さについても、独自に150mトラックを必要とするなどの基準を設け、全国的な例から逸脱しています。
◆地域や子どもの声が十分に聞かれていない
パブリックコメントなどでの子どもの意見は 人分しか集められませんでした。さらに、アンケート実施を求めても教育委員会の回答は「決定ではないので行わない」というものでした。 また、豊渓中には「この学校だから通える」という子もいます。大きな学校が合う子もいれば、小さな学校だから安心できる子もいます。一人ひとりに合った学びの場が必要であるにもかかわらず、学校規模と教育環境の多様性の議論がないまま統合を進めているのです。
◆通学や安全面の心配
また、通学距離の基準を事前に から2 へ変更し、交通安全対策もモデルルートを示すとしながら、いまだに何も示されていません。災害時の避難拠点としての機能も検討が後回しにされたままです。
豊渓中は地域の避難場所にもなっています。体育館を残すと言われていますが、それだけで本当に安心できるでしょうか?
学校がなくなると、子育て世帯が減り、地域の活気にも影響が出るかもしれません。
◆保護者と地域の行動
地域で活動していた「豊渓中学校統廃合を考える会」は、1964筆の署名を提出し、公開質問状・個別面談・議会各会派との意見交換、SNSやニュース発信、匿名アンケートなどを実施してきました。アンケートでは %が統廃合素案に反対、 ・6%が「合意形成は不十分」と回答しています。
しかし議会審議では、合意形成を求める陳情など3件すべてが否決されました(反対は自民・公明・練馬会議中心)。統廃合を検討する委員会の議事録も当初非公開で、審議内容も薄く、関係者の多くが区職員で構成されていたのです。
◆感じたこと、これからの願い
練馬区は「区民とともに区政を進める」と言っています。でも今回の対応はその姿勢に反し、地域の声を聞かずに結論ありきで進めたと言わざるを得ません。避難拠点や通学時の安全など不安は残されたままです。子どもと地域を軽視する行政姿勢に強い不信感を抱き、来春の区長選に向け、子どもと地域に寄り添う区政を求めていきたいと思います。
練馬区のインフラ災害リスクと対策
◆老朽木造住宅密集地域の火災リスク
2025年もあと半月余りですが、1月28日に起きた埼玉県八潮市での道路陥没事故から、先月17日に発生して、焼失棟数170棟以上、焼失面積約48900平米(林野被害は調査中)という甚大な損害があった大分市佐賀関(さがのせき)大火まで、今年も大きな事故と災害があった1年となりました。香港でも、今月26日に高層住宅で火災が発生、死者数が160人に達する大惨事になりました。
市街地での大火は、1974棟が焼けた山形県酒田市の大火以降、消防力や建物の耐火性能の向上、道路拡幅で、地震時を除き大規模火災を克服したと、一時言われました。しかし、その後も新潟県
糸魚川市の火災(2016年174棟、約4万平方メートルが焼損)のほか、今年の岩手県大船渡市の山林火災など、大火が発生しています。
また、阪神淡路大震災(1995年)での神戸市長田地区を中心とした地域や、輪島市でも能登大震災の際大規模な火災が発生しました。これらの火災による損害がここまで大きくなった要因は三つあります。老朽木造住宅の密集(木密)、乾燥、強風です。これに最近の火災では、空き家が被害を大きくする要因になっています。
◆練馬区の木密火災対策
練馬区が発行している「防災まちづくりニュース第12号」には、区内の木密地域として、富士見台南側地区と石神井地区の二つを挙げ、火災の際の延焼を防ぐため、次の対策を掲げています。
①古い住宅建替え等の費用の援助として建替え工事に225万円、解体工事に150万円、耐震改修工事に270万円を上限に支給、②危険なブロック塀等の撤去のため閉塞防止路線沿いに対する助成として1メートル当たり2万1千円を支給、③災害時の避難等を円滑にするため、狭あい拡張促進路線沿いの公道を拡張する土地の寄付に対する奨励金として20万円を支給。
しかし、建設資材、工賃、解体費用の高騰が続く中で、この程度の助成金で火災の対策が進むのか疑問です。また、高齢者、特に単身者の独居住宅に対する援助、さらに大分市の火災で延焼の原因となった空き家(被災建物の4割が空き家だった)に対してどういう対策を講じていくのか、注視していかなければなりません。
◆下水道の老朽化による陥没事故対策
次に下水道の老朽化による道路陥没に対する対策について触れます。今年1月の埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故では、通りかかったトラックが巻き込まれ、74歳のドライバーが亡くなり、遺体が4カ月後に見つかるという痛ましい事故となりました。
八潮市の大規模な道路陥没事故を受けて、国交省は3月から、直径2メートル以上で敷設から30年以上が経過した約5千kmの下水管について「特別重点調査」を実施しました。5千kmのうち、八潮市の現場と似た地盤に敷設され、①高低差があるなど管路が腐食しやすい、②過去に陥没があったり腐食が確認されたりした箇所、など約810キロを優先的に調べ、9月17日に、先に調査が終わった621キロ分の状況を国交省が報告しました。
それによると、対策が必要な不具合が見つかった管路は計287キロで、結果が出たうちの48%にものぼっています(朝日新聞 9月18日)。
公共下水道事業は、原則として市町村が行う事業ですが、東京23区については東京都が実施しています(練馬区の下水道を管理しているのは北区にある「浮間水再生センター」です)。先月13日に大柳事務局長と小沼「9条の会ニュース」編集長と浮間センターを訪問、「東京都の下水道管再構築」の実状についてうかがってきました。それによると、
①東京都の区部での下水道は16000キロにも及ぶ。老朽化した下水道管については、再構築することで、将来にわたり安定的に下水を流す機能を確保している。
②再構築の結果、法定耐用年数(50年)を超えて使用している下水道管は約29%だが、今後、高度成長期以降に整備した大量の下水道管が一斉に法定耐用年数を迎えるため、再構築を実施しない場合、法定耐用年数を超える下水道管は、2021年度から5年間で約29%、20年間では約65%に急増する。
③東京都では、計画的に維持管理を行うことで、下水道管を法定耐用年数より 年程度延命化(つまり80年間)させ、効率的に再構築を推進する。ということです。
首都圏で直下型地震が発生した場合、80年間に延命させた下水道管が耐えられるのか、点検ひとつにしても多くの作業工程が必要で、技術職員の高齢化・人員の不足もあり、疑問無しとは言えない状況です。下水道の老朽化対策は、中長期に及び多額の費用を要するだけに、都としては、不要不急の計画、例えばタワマンの建設に対する援助や26億円かける「世界最大級の噴水」、あるいは50億円もの税金が消える水素燃料電池タクシー600台の導入などは止め、インフラの再構築や耐震対策に向けるべきでしょう。
今年、「区民要求実行練馬実行委員会」が練馬区に提出した「練馬区民・練馬区諸団体の要望書」では「上下水道の耐震化」など、首都直下型地震への備え・対策を進めるよう、練馬区が国・東京都と協議し、体制を整備することを求めています。こうした喫緊の課題が早く解決するよう、私たちも運動を強めていきたいと思います。